猪の箱罠に使う寄せ餌の食材や餌付けに関して悩んだら読んで欲しい
猪の箱罠に使う寄せ餌の食材や餌付けに関して悩んだら読んで欲しい
猪の痕跡が見られ始めたので箱罠に猪の餌を撒くがなかなか入らない。猪が餌に寄り付かない時にやる気を出す為にぜひ読んで見て欲しい。
この記事で伝えたいのは3つ。
✔ 猪の箱罠は設置後よりも設置前に注意
✔ 論理的に考えて箱罠という割と無理ゲーな罠
✔ 有害駆除時期だからこそ美味しい猪の食べ方
ではいってみましょう。
猪が山から下りてきたので箱罠の餌付けを始めた
先日の記事でも書いたように、虻が怖いのもあって早々に箱罠を設置して来ました。
【断言】梅雨明け猪の箱罠は動かせなくなるので設置場所を定めるべき
その為いよいよ本格的な餌付けの開始です!
ちなみに猪の箱罠猟は、設置しても直ぐには入りません。
長い時には1カ月以上から何年も同じ猪とやりとりする事もあります。
稀にすぱーんっと箱罠に入る時もありますが、運が良いだけなので基本的には長期戦です。
猪の箱罠猟で使われる餌付けや寄せ餌とは
そもそも猪の箱罠猟で使われている餌付けや寄せ餌とは何のことかを説明しておきます。
餌付け
その名の通り猪の箱罠猟では対象である猪を餌付けします。
これは箱罠への警戒心を解くと共に、最終的に餌につられて箱罠の中に入れさせ、罠の扉が閉まるスイッチを触らせる為の重要な手順です。
猪の箱罠猟ではこの手順無くして捕獲は不可能と言えます。
寄せ餌
その名の通り猪を箱罠に近づける為の餌の事です。
寄せ餌は猪が箱罠に近づき、箱罠の中に入る日まで続けるので、簡単に手に入り且つ大量に確保出来るものが実用的です。
寄せ餌は地域や猟師によって様々、結構シークレットな部分でもあります。
猪の箱罠猟で寄せ餌に使う食材
寄せ餌は前述したように簡単に手に入り且つ大量に確保出来るのものがお勧めです。
なので僕は猪の箱罠猟使う寄せ餌には一切お金をかけません。徹底して0円です。
0円食材の中で最も一般的なのは米ぬかです。
猪は雑食なので何でも食べますが、米ぬかは食いつきも良く粉末状なので色々な所に撒くことが出来る大変便利な寄せ餌の1つです。
もしこれから猪の箱罠猟をやるのなら、米ぬかをいつでも大量に入手できる場所を確保しておくといいでしょう。
米ぬかの入手方法
米ぬかの入手方法はいくつかありますが、一番多いのはコイン精米機です。
都会の人には馴染みがないと思いますが、田舎では精米を自分たちでする事が多いです。
このコイン精米機の良い所は、精米した後の米ぬかを自由に持って帰れるところです。
精米後の米ぬかは普通の人は不要なので持ち帰りませんので、僕達猟師はいきつけのコイン精米機を巡回し、米ぬかを持って帰るという仕組みです。
ただし昨今の猟師急増を受けて米ぬか争奪戦が各地で繰り広げられています。僕のいきつけの精米機にもライバルが出現し、近々米ぬかは精米機から入手するのが難しくなりそうです。
食いつきの良い酒かす
米ぬかと一緒に僕が良く使うのが酒かすです。
酒かすは大量に入手するのが困難なので、ここ一番の時に使っています。
と言っても能登では割と酒かすは手に入る食材です。
酒所である事と、冬になると地方の酒蔵に出稼ぎに出る人が多いので、酒粕をもらってくることが結構あるようです。
スーパーにいけば勿論売っている食材ですが、寄せ餌は買わないのでこれも貰いものです。冷凍庫に入れて小分けにして使っています。
ちなみに酒かすはなぜか凍りません。工作で使う粘土程度の固さを保つので、ちぎって使っています。
時期のものを採取して保存
この他はサツマイモとタケノコです。
どちらも季節ものですが猪の大好物です。
サツマイモは家の畑で育てているものの不作だったのを使います。人間が食べれなくても猪にはご馳走です。
こんなのを近所や親戚中から貰えばそこそこの量になります。
タケノコはGWから6月頃までどこからでも生えてきます。そのまま放置しておくと竹林になってしまうので、通常は見つけたら踏み倒したり伐採します。
土を掘るので多少面倒臭いですが、これも猪の大好物なので皮をむいて冷凍しておきます。
猪はタケノコの皮をむいて食べます。
猪は箱罠付近の餌はなかなか食べない
さて寄せ餌の食材が揃ったらいよいよ餌付けの開始です。
最初の頃は餌の変化を楽しめるのですが、一向に箱罠に近づかない状況を見ているとイライラを通り越してもう餌付けが面倒臭くなります。
あれ?俺が育ててね?
餌付けを繰り返しているとある時こう思います。「あれ?俺が育ててね?」と。
一向に捕獲できない猪に餌付けを続けるという事は、日々無料で餌を与えているという事。これはもはや養っているのと同じ事だとある時気づきます。
この気づきの悔しさったらありゃしない、テンションがた落ち間違いなし。箱罠猟師の登竜門ってやつです。
餌付けに使っている寄せ餌に問題があるのか
この時点でやる気を失い餌付けをさぼり始めるか、それとも完全に放置するか。はたまた悔しさをバネに試行錯誤するかは人それぞれ。
冒頭書いたように猪の箱罠猟では餌付けなくして捕獲もあり得ません。ここが頑張り処です。
問題は何処にあるのか?
手段を講じる前に先ずは現状把握です、焦らず分析する事が大事です。
原因が分かれば対処法も異なります、狩猟では何事も決まったパターンは無いと考えていますので、何よりも現状把握が重要だと思います。
そもそも猪は来ているのか?他の鳥獣ではないのか?
猪の住む山の中には寄せ餌を狙う他の鳥獣が山ほどいます。猪が食べる前に他の鳥獣が食べているとしたら即移動か餌付け終了です。
残念ながら簡単に手に入り且つ大量に確保出来るのもので猪だけが食べる食材は無いと思います。
確認方法
一番良いのはやはり映像でしょう。僕は判断できない時にはカメラを設置します。
画像にはキツネが映っていますね、これは猪よりも早くキツネが来て寄せ餌を全て食べてしまっていました。
頭にきたので暫くやめました。
罠は下調べが超重要|準備8割本番2割ってこと
罠猟は釣りに似ていると思います。
対象魚を狙うには雑魚を避けなければなりません。ポイントやタナを誤るとどれだけ粘っても釣れません。餌を変え潮を読み何度も何度も挑戦した結果にやっと狙った獲物が釣れます。
猪の箱罠を仕掛ける時には入念な調査の結果、高い確率で猪がいると判断出来た場所の近くに設置する事が大事という訳です。
箱罠という割と無理ゲーな罠
先ほど箱罠猟を釣りに例えましたが、箱罠猟と釣りで圧倒的に違うのが、罠が見えているということです。
釣りでは疑似餌やこませを使って仕掛けそのものを隠しますが、箱罠は山の中に突然鉄の檻が現れるのです。
いくら獣と言えどこんなスーパー怪しいものに簡単に近づく奴はいません。
山の中にはない餌が点々と撒かれ、段々と鉄檻の中に続いていればどんなアホでも警戒します。
この視覚的なハンディをもって挑む猪の箱罠猟とは、割と無理ゲーな狩猟なのだと思ってしまいます。
しかしそれでも捕獲出来るのは、猪の警戒心よりも食欲が勝ってしまっているからだと思います。
無理ゲーな箱罠で有害駆除隊員をやるわけ
僕は正直箱罠が面白くありません。くくり罠に比べて野生の生き物の事を考えないでも良いからです。
くくり罠をやっていると木々や木の実や木の葉、森の中で目に映る小さな変化を見逃さないようにします。
痕跡から猪を想像し、何処からやってきて何処に向っているのか。
どれくらいの体重でどれくらいの大きさなのか、
歩幅を計り罠のかかる足をイメージし設置していると、本当に猪がその場所を歩いているかの様に鮮明なイメージが湧いてきます。
残像が見えるほど考え仕掛けた罠があっさりと見つかり、掘られてひっくり返されたりするのだからくくり罠は面白くて仕方ありません。
こういった試行錯誤がくくり罠最大の楽しみなのですが、能登では猟期以外に使用はできません。
くくり罠が出来ずとも苦手な箱罠をやるのには理由があります。
この時期が一番美味しい猪肉の調理法がある
それはこの時期の猪肉が欲しいからです。
猪の肉の旬は秋から冬にかけての時期で、最大の特徴である脂が全身にたっぷりのる時期だからです。
脂ののった猪は絶品に違い無いのですが、脂の一切のらない夏の猪も食べ方次第では最高の食材になります。
夏季限定の猪肉をつかった料理、猪の燻製
夏の猪は全くと言って良いほど脂がありません。焼いて食べてもカスカスであまり美味しくはありません。
でもそんなカスカスの肉だからこそ最高に美味しくなる食べ方があります。
それは猪の燻製です
我が家の猪の燻製は大人気で、各地から貰えないかとオファーが来るほど。
猪肉と燻製は法律のハードルが高く販売は出来ないので皆おすそ分け程度ですが、一度あげた人たちからはもっとないのかとリクエストが絶えない逸品です。
ですのでこの時期にしか取れない猪肉は僕にとって貴重な資源。くくり罠が出来なくとも何としても手に入れたい食材なのです。
まぁ冬のお肉でも出来ない事は無いのですが、脂を落とす作業が非常に大変です。
まとめ
僕は箱罠に猪が全然かからない時、以下の事を考えます。
✔ そこに猪はいるのか?事前に調査を行い猪がいると確信できる場所だったか?
✔ 餌は猪以外に盗られていないか?キツネやタヌキや鳥の仕業ではないか?
✔ 夏の猪肉こそ燻製に最適、諦めるな!
さぁ箱罠本番です。地域の為、燻製の為、頑張りましょう。