【大物】冬の能登の海で魚突きをしたら90㎝のヒラマサを突いた話
僕の中で冬の能登の魚と言えばブリだろう。富山県の氷見で獲れる超高級魚”氷見のブリ”実は能登を通って辿り着いたブリたちなのだ。氷見に着くとブランド化するだけであって、能登のブリも味は一級品なのだ。だが、今回はそっくりさんのヒラマサを突いた話。
寒くてもっても1時間
冬の能登の海は寒い!1時間もすると全身がガタガタ震えゴムを引く事すらままならない。装備が甘いのだがそんなに無理して潜る事もないだろうとアップデートを行っていない。いつももう寒いから入らん!とか思いながら、海況が良くなると海に入ってしまうのだ。長い事魚突きをやっていると今日は行けるな・・みたいな日が分かってくるのだ。
時間がないので一直線
兎に角長居は無用、冬の能登の海に潜る時の僕はかなり真剣だ。無駄な時間を省いて魚突きに徹しなければあっという間に時間切れとなる。僕だけが知る鉄板ポイントへ向かってひたすら足を動かす。
ここは何でもいるポイント
僕が向かった鉄板ポイントはいくつかある中でも3本の指に入る名所だ。これまで数々の大物を突いてきた場所なのだ。直径10m程の岩の下は洞窟になっており、入り口は至る所にある。人間が入る事は出来ないので、ひたすら周りで魚たちを寄せるしかない。根魚狙いと思いきやこの岩場の上を巨大な回遊魚もすっ飛んでいく面白いポイントだ。
ここは何でもいるポイント
今日は石鯛狙いで向かっていた。回遊魚は出会いだが根魚である石鯛はこの岩場に住んでいるのを知っていた。しかも超でかいやつで見かけただけで射程距離にも入れていないやつだ。何だか今日は突けそうな気がしていたので場所も獲物も決まっていた。
石鯛いない、ナメラ(キジハタ)はいる
ポイントに着く前から潜行を始め海底から岩場に接近する。石鯛はいないが他の高級魚たちがホバリングしながらこちらを見ている。悩むところだが一旦浮上し次の潜行で石鯛が現れなければナメラ(キジハタ)を突いて帰ろうと思った。
ヒラマサ現る!
回遊魚ってなんで寄ってくるんだろう?音もなく現われ突然姿を現しこちらの様子をぐるっと回りながら見ている。目が動いているのもわかるし、体を動かす時に腹から尾びれまでの筋肉が動いているのもはっきりとわかる。1m越えであろう巨大なヒラマサが一匹接近してきた。
銛を引いてしばし待つ
魚付きには射程距離がある。ゴムと銛の長さで決まるのだが、もう一つ獲物の大きさでも微妙に変化する。魚突きをやっていて最も悔しいのは突いた魚をばらしてしまう事だ。釣りであれば針ごと持っていかれても魚は生きられるかもしれないが、魚付きの場合はほぼどこかで死んでしまう。大物になればなるほど浅く突いた時には暴れた拍子にばらしてしまう事があるのだ。距離を保つ大物を前に確実な距離まで寄せる事が出来るか、腕の見せ所だ。
やや遠いが突く、神経を打ち抜く
回遊魚が周りを泳ぎだすとあるタイミングでどっかに行ってしまう。何度も経験してきたのでもう行くなーっていう前兆が分かる。このタイミングが忍耐の限界となり、銛を放つしかない。この時仕留められないと判断したら打たない事もある。あくまでも突いたら必ず取り込めるという前提でしか魚を突いてはいけない。
やや遠く貫通は出来ない距離だったが体半分までは銛が到達する距離だった。放った銛はエラ付近から頭の方に向けて突き刺さり、背骨に刺さって止まった。ビクビクっと痙攣した後海底に向かって落ちていくヒラマサ。一緒に海底に潜りヒラマサを両手で掴み丸々と大きな胴体に感動してしまう。銛先は骨に突き刺さり手で抜くことは出来なさそうだ、良い所に刺さってくれて一安心だ。だが、これだけのサイズなので暴れればてこずるのは間違いない、早々にスカリを通して浮上する。
90㎝のヒラマサは親戚13人で完食
大物を突いたら一人では食べきれない。家に帰って最初にしたことは親戚中に連絡して宴会の予約を入れた。皆が集まる時間が決まったので急いで準備にかかる。この日のメニューは刺身・しゃぶしゃぶ・照り焼き・塩焼きだ。
夕方仕込みが終わって調理をしているとぽつぽつと親戚が集まってきた。漁師のおじさんも来てくれ。「こんな状態の良いのは漁師でも食べた事がない」と
絶賛してくれた。 ヒラマサは頭もカマも無くなり、皮や骨は煮込んで我が家の犬たちの餌になった。内臓と鱗以外は全て食べてしまった。
次はどんな魚に出会えるだろうか、海に入るのが楽しみで仕方ない。