【2019石川県カヤック旅③】輪島市から上大沢まで15.4㎞

このツーリングは粟津海岸を出発し巌門まで期日を設けずに漕いで旅する話。 テントと食料、それに遊び道具を積んで野宿しながら巌門を目指します。

前回川を上り輪島市中心地まで行き、ファミーという商業施設の休憩所で弁当を食べながら涼んでいた所、休憩所の直ぐ横の本屋さんで古書のワゴンセールを発見し本を買おうと思った所だった。

輪島市から上大沢までは15.4㎞❘4時間で到着

輪島市に11時に着いたのだが、ファミーのあまりの快適さに外に出るのを躊躇ったため出発したのは2時間後の13時。

6時間カヤックを漕いでせいぜい30㎞、休憩してたら2時間なんてあっという間で1㎝も進まない。

少しづつでも前進することの大切さと人間何もしていない時間ってのはあっという間に過ぎるのだなと実感してしまった。

西村京太郎の北能登殺人事件

休憩所には水筒を持ったおじーが新聞や雑誌を片手に本を読んだり、椅子を並べて寝ている人もいる。

この光景がファミー休憩所の魅力を物語っている。

僕も弁当を食べながら日記を書き、えんぴつを削ったりビールを飲んだりのんびりと過ごしていた。

古書のワゴンセール

今回の旅に僕は2冊の本を持ってきていたが、1冊は読みかけでもう1冊はそれほどページ数が多い本ではなかった。

恐らく旅の途中で本は読み終えてしまうだろう、そうなるとキャンプの夜が暇になってしまう。

休憩所から見える古書のワゴンセールで僕はいくつか本を選んだのだった。

北能登とはどこだ?

ここで1冊の本と出合う。

その名も「北能登殺人事件」だ。

若い刑事のストーキングのような冒頭に始まり、あの有名な十津川警部が登場する。

ヒロインが疑われ「私やっていません」、若い刑事がフォロー&恋をする。

十津川警部が「若いっていいね」、古参の刑事が「デカに私情は禁物です!」

アリバイ崩しに頭を悩ませるんだけど時刻表だけでは分からないトリックが発覚。

東京・京都・能登を舞台にした時刻表トリックの殺人事件だ。

んで、なんでこれを買ったかというと、「北能登」ってどこだ?ということ。

だれも北能登とは言わない

北能登なんだからまぁ能登の上の方だろう、つまり僕らで言う所の奥能登だ。

先ず能登の前に方位が入るってことは、西能登も東能登もあるってことか?いやない。

能登という文字の前に方位を入れる地名なんてきいたことがかない。

でも昔は言ったのだろうか?そこで旅から戻った時に能登に住んで60年以上である義理の母に話を聞いてみた。

お義母さんのフルカウンター

「お義母さん能登の人は北能登って言います?北能登ってどこ?」

「北能登・・・?・・・・・??」暫し考える様子をみせ、

「私田舎に住んでいるからそんなのわかんないわよー」

「いや、お義母さん、北能登って地名あります?それか昔は奥能登を北能登って言ったとか」

「北能登・・・?私は言わないわねー、他の人はそういうのかしら?」

「お義母さんの周りで北能登って話す人います?」

「私の周りでは多分いないわね、北能登ってどこ?」

僕が質問した内容がそっくりそのまま返ってきてしまった。

僕が突っ込む前に嫁が怒りをあらわにしたので話を中断した。

普通会話の中で北能登とは言わない。

輪島港を出られない

ファミーでたっぷり休憩を取り外に出ると途端にやる気が失せた。

クーラーの快適さが僕を駄目にしたのだ。

だが外に出ると直ぐ下に僕のカヤックが干上がっている。

あまりにもカヤックが暑そうなので、水を浴びさせてあげないと思いなんとか出航に踏み切った。

川を下り橋をくぐり、港が見えてきた。

次の目的地は有名な袖ヶ浜だ。

綺麗な砂浜と聞いていたし、この日の風向きはべた凪だろうと思い寄ろうと決めていた。

イカ漁船軍団通りまーす

でかい輪島港は出るのも一苦労だった。

堤防づたいに港内を進んでいると堤防の切れ間が見えた。

船の出入りする場所なので慎重にカヤックを進めると低くて重いエンジン音が聞こえた。

お、マズイ、結構でかい船来るぞ直ぐにパドルを逆回転させて下がった。

するとドでかいイカ釣り船が勢いよく港から飛び出して来た。

カヤックから見上げる船はいつもより大きく見え、そして凄く格好良かった。

次々に出て来るイカ漁船で30分停滞

低いエンジン音は体の芯まで響いてくる。

しかも1隻ではなく等間隔で出ていく船は正に船団といった感じだ。

「しかしすげー出て来るな・・・一体何隻あるんだ・・・・」

「あ、また出た・・・・・」

「あ、まだ出る・・・・・」

「あ、また・・・・・・・」

もう一体何隻出たかわからない。

次から次へ出てくるし、帰ってくる船も待って隙を見て入ってくるもんだからかなりの混雑状態。

結局ここで30分停滞しようやく袖ヶ浜に向って漕ぎ始めたのだった。

袖ヶ浜海水浴場はなかなか良い

ようやく輪島港を後にした僕は袖ヶ浜海水浴場を目指した。

輪島市が誇る有名なビーチで、見たことも行ったこともなかったがネットで検索するとなかなか評価は高い。

波高は低く風はオフショア、初めての行くビーチのコンディションは文句なしの日だった。

袖ヶ浜海水浴場は人が少ないビーチだった

袖ヶ浜海水浴場は人が少なかった。

折角のコンディションなのに勿体ない、以前福井にカヤック旅した時はもんの凄い数の人がいて逃げるように帰ってきたが、海況はこっちの方が良いしこれだけ空いているんだから皆能登に遊びに来れば良いのにと思ってしまう。

袖ヶ浜海水浴場には海の家が良い感じ

海の家があるのは内地のビーチって感じがする。

テレビで見る湘南の海の家とかはめちゃオシャレだったりするが、僕はああいった海の家を未だみたことが無い。

袖ヶ浜海水浴場の海の家は昔ながらの海の家だが、店主と思われるおじーが良い味出してた。

時代劇のようなおじー

濡れたまま店の中に入ると前掛けをしたおじーが扇風機の前に座りぼーっとしていた。

「すみません、生ビール1つ下さい」というと、「はいよー」言い立ち上がった。

アイスクリームを入れる冷凍庫を開けジョッキを取り出すと、キンキンに冷えたジョッキに生ビールを注いでいく。

丁度良い所でレバーを戻し、少しスプーンで泡をすくった後泡を追加。

「はい、おまたせー」と言いおしぼりと一緒に持ってきてくれた。

口をつけると一気に半分飲みほした。ウマイ!!

やはり海に出てカヤック漕いだ後の生ビールはウマイ!最高だ!

おじーにビールが旨いと伝えると、頭を掻きながら「へへ、ありがとうごぜぇいやす」と時代劇の商人のような素振りを見せまた扇風機に前に座った。

因みにビールは600円、かなりお勧めですのでぜひ袖ヶ浜海水浴場の海の家のビールを飲んで見て欲しい。

朝ドラまれの舞台となった間垣の郷大沢町へ向かう

次に目指すは朝どらまれの舞台にもなった間垣の郷大沢町だ。

車では何度か来た事ある場所だが、海から来ると村と言った感じである。

と言うのもここまでの道のりはせせり出した断崖絶壁の海辺を漕ぎ、陸から1m離れれば水深は40m以上のドロップオフ。

まるで岸壁づたいに外洋を漕いでいるようなもの。

漕げど漕げど人の気配はなく、凶暴な岸壁と黒い海がひたすら続く。

大沢町を目指してはいたがなかなか見えずに不安になった頃、自然の立地をそのまま活用したような入り江を見つけた。

ここは〇×△※、大沢村までは5㎞だよ

入り江には小さな港があり、数隻の船が泊っていた。

手前の入り江にカヤックをとめ一先ず堤防の方に歩いてみた。

堤防にあがると軽トラックが見え、年配の男性がサザエを選別していた。

一先ずここが何処なのかを知りたかったので、挨拶しながら近づき質問を投げかけてみた。

「ここは何という集落ですか?」

「ここは〇×△※」

・・・全くなんて言ったのか聞き取れん。

聞き返すのも申し訳なく、人がいる所まではどれ位かと聞くと、

「5㎞いけば大沢があるよ」とのこと。

後で逆算してみたところ、恐らく輪島市小池町元鵜入という場所ではなかったかと思う。そしてこのおじさんは温泉民宿漁火のおじさんだったような気がする。

おじさんにお礼を言い再び輪島の海に漕ぎだした。

大沢町到着

5㎞よりも近く感じたのは北東の風のお陰だろう。

見慣れた景色が目に入るとどっと疲れが押し寄せて来た。

未だ明るいが兎に角今日は早く休みたい気持ちだった。

ここまで9時間程海を漂い40㎞以上漕いだことになる。

僕にしては随分と頑張ってしまった。

この先に民宿桶作さんがある。

寝る所がないのでもうひと踏ん張り!上大沢へ出発

港内に入りスロープにカヤックをあげる。

ひっそりとした集楽だがバイクや県外ナンバーの車がちょこちょこ通る。

集落の人に挨拶しながら水を求めウロウロ、公民館で水を拝借したあと港に戻るがどうも野宿出来そうな場所がない。

もう疲れたしこの先も断崖絶壁の海が続くとカヤック上げられないしどうしようかと悩んだ。

携帯の電源を入れgoogle mapを開き、辺りを調べてみると3㎞程先に上大沢という集落があり、入り江のすぐそばにトイレもあるではないか。

絶対こっちの方が良いな!ということでラスト3㎞頑張ることにした。

上大沢はのパリピたち

引き続き北東の風の影響でカヤックはぐんぐん進む。

流石に疲れていたのでたらたらとパドルを動かしていたがお陰様で上大沢まではアッと言う間についた。

google mapで見た通りの地形だ、この上に駐車場があってキャンプが出来る。

そう思いカヤックを上げ、港から道路に上がり目的地を目指した。

歩いていると何だか音楽が聞こえてくる。

クラブミュージックとでも言うのだろうか、外国のやかましい音楽が田舎に鳴り響いている。

音のなる方はキャンプ予定地だ、嫌な予感を感じつつ近づくとそこには若者数十名がバーベキューをしながらけたたましく何かを叫んでいた。

うわ、コワー・・・なんでこんな所で音楽かけながらバーベキューしている?しかもそんな大声出すのだ?

カヤック旅していると「海怖くない?」「何かあったらどうするの?」などとよく聞かれるが、臆病なまでに慎重に行動しているのでよほどの突発的事故が無い限り心配はない。

何か起きたとしてもプランBやCを持っているので、冷静に対処することも出来る。

なので何が怖いかと聞かれれば、得体のしれない人間の方がよっぽど怖いものだ。

ここに泊るのは無理と判断し、浜辺の一番端っこに泊ることにした。

彼らとは関わりたくなかったがどうしても真水が欲しかったのでトイレに向かった。

彼らは相変わらず音楽と酒とバーベキューを楽しみながら何かを大声で叫んでいた。

トイレに着くと一人の若者がバーベキューのコンロを洗っていた。

ホースとたわしでコールマンのツーバーナーガスコンロをせっせと洗っていた。

彼はパシリなのだろうか、可哀そうにと思いつつその場を後にした。

この日は流石に早寝だった

夜になっても北東の風は弱まらず、食事を済ましテントに入ると気持ち良い風がテントの中を通り抜けた。

地図をみながら今日一日を振り返り、明日の予定を立てる。

台風8号が接近していて明日からどうしようか悩んだ。

それ程の影響はないがうねりの向きが良くない、明日の夕方か明後日の朝には影響がでることが予測出来た。

大事な判断所だなと思いつつ、北能登殺人事件を読み始めた。

字が小さい本だな・・・・